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第25話

「誠、ちょっと来て」 「……ぁ…、」 あれからの事はよく覚えていない。気が付いたら待機場所に居た。今はすぐに戻ってきた櫟田に手を引かれ何処かに向かって歩いている。 もっと人気のない所に連れていかれるかも…と誠は思っていたが、連れてこられたのは待機場所からそこまで離れていない男子トイレでほっと息をつく。 安心したのも束の間、背をぐっと押され一番奥の個室に押し込まれる。二人ともいくら細身とは言え、男子高校生だ。ほとんど身動きが取れない。櫟田は後ろ手にカチャンと鍵を閉める。その流れが自然過ぎて、またあっさり捕まってしまった自分に泣きたくなる誠。 櫟田はこの間のようにおかしな様子ではなく、普通だった。怖いくらいに。 見上げる誠に櫟田は話し出す。 「誠、見てくれた?俺、勝ったよ。」 「見たけどまず出して…それからでも話は出来るじゃん!」 「無理。誠、絶対話聞いてくれないだろ」 「き、聞くから、出して」 「はぁ。無理だって、何もしないから。」 「こんな状況じゃまともに話できないって」 絶対うそだ…と思ったがここで変に刺激して痛い思いをしたくない。ここは無駄に反抗せず大人しく従おうと思い狭い個室で櫟田を見つめた。 「俺、女が良いとか思ってない。本当にあの女とは何も無かったんだよ…俺…誠がいい。ごめん。誠が好き。もう一回チャンスくれない?」 「…無理だよ…」 「…誠…お願い。…その…セックス…してないから…」 「女が良いとか思ってないしあの人とは何も無かったって何?ならなんで俺の誘い断って行ったの?キスマだって俺にはつけさせてくれなかったくせに。あんなのつけるとか何も無いわけないだろ…セックスしてないから許せって事?冗談やめてよ」 「…誠が…」 「…?!」 早口で捲し立てる。 すると小さく震えた声で言われ櫟田を凝視する。その瞳は微かに潤んでいて誠はギョッとした。 「な、何、俊?泣いてるの?」 少しキツく言い過ぎたか?と思い櫟田の顔を覗き込む。 不意に脚の間にグッと櫟田の 膝が割り込んできてそのまま股間をぐりぐり刺激され、思わず腰を逸らした。 「…っン、ちょっと、何だよ」 「…いつもアイツだ…」 「は、っ…、?、足やめ、」 「…篠宮篠宮…俺と付き合ってた時も誠はずっと篠宮の事見てた」 「…やめて」 ぐりぐりと刺激し続けられ、誠のそれは半勃ちになった。 上着の裾から潜り込んできた手は勝手知ったる様に誠の素肌を撫でる。簡単に胸の飾りまで辿り着いた指先がきゅっとそれを絶妙な力加減で愛でる。 「…っ、っしゅん…ん」 「ごめん…ごめん誠…」 「…ァ、っ」 「…好きだよ…」 「俊…今ならまだ間に合うから…止めて…お願い…」 「ごめん」 謝りながら全く止める素振りを見せない櫟田に誠はとんでもない事になったと今更実感していた。

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