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第32話

風呂上がりで腹が減った誠はこの間のオムライスの材料が残っていたので作ってみる事にした。もちろん二人分だ。 今回は卵を割っても殻が入らなかったしケチャップライスもべちゃべちゃしてない。 「…良い感じ」 お椀にケチャップライスを盛り、平皿にひっくり返してその上に焼いた卵を乗せる。出来上がったオムライスはこの間作ったより断然上手く完成した。 二つのオムライスをローテーブルに置く。壁掛け時計を見ると現在7時30分。誠は篠宮を待つ事にした。 (そう言えばスキって書いてって言われたな〜…) 篠宮のお願いする顔を思い出し、ケチャップを持ち篠宮のオムライスに書こうとして止める。 (もう俺と翔くんは付き合ってなかったんだ…) 「……」 実感した途端、急激に食欲が失せテレビをつけてぼーっと観る。画面の中のお笑い芸人は誠を笑わせようと一生懸命だが一ミリも笑えない。 (帰ってこなかったらどうしよう) もしかしたら旭とあんな事やこんな事…と勝手に想像して視界が潤む。涙は頬を伝ってぼたぼたとテーブルに落ちる。夜間の移動は禁止になっているのにマイナス思考に陥った誠はそれを忘れて悪い方向にばかり考えてしまう。

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