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第33話

篠宮は三人の一年生に囲まれて頭を抱えていた。 事の発端は今日の昼休み、旭が篠宮に『勉強を教えてください!』とお願いをしに来たのだ。なぜ期末が終わって暫く経った今なのか、誠にあまり勘違いさせたくないので断りたかったが可愛い後輩だ。頼りにされているのは嬉しい事だが夕飯食べてないから、とか適当に言い訳して早めに戻ろうと思っていた。風呂も夕飯も済ませないで来たのはその為だ。 (それなのに何だよコイツら…) 旭はまだ良いとして、旭と同室の二人の頭脳が壊滅的に悪い。いくら教えても知識を吸収するどころか理解すら出来ていない。チラりと旭を見ると『すみません☆』という表情で両手を合わせている。 「え〜わっかんねぇ」 「…わかりません」 「…ねぇ謙太…これからは田中に頼んでくれない?あいつも頭良いの知ってるよね?」 「えー!!無理です!田中先輩、絶対手が出るので!!」 そうか…そういう事か…。と篠宮はやっと理解した。 旭と田中は付き合っているから田中を頼ればいいと思っていたのにそうしなかったのは田中が割と短気な方だからか。旭に頼られるなら田中は喜んで教えに来そうなものだが中々伝わらないらしい。 「…はぁ…」 「すみません…あの…、才田先輩と付き合ってます、よね?早く帰りたいですよね…最近付き纏って本当にすみません…」 「…いや、別れたし。全然大丈夫。」 気まずそうな顔をする旭。 「…ごめん」 「…いえ…無神経でした…」 俯き膝の上で拳を握り締めているが何も言えない。 「あー!篠宮先輩!俺もう無理っス!!」 「そうだね、じゃあ」 「風呂お先にどうぞ!!」 「えっ?」 荷物を纏めて立ち上がろうとしたのを止められ風呂を勧められる。渋るが『いや、時間も遅いしお礼なので!』と言われ中々断れない。結局ずるずる風呂と夕飯をご馳走になってそのまま寝てしまった。

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