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第43話

映画が始まるのは正午。まだ10時過ぎで映画開始まで全然余裕がある。隣を歩きながら『まだお昼には早いですしね〜』と呟いていた旭が、あ!っと声を上げる。 「才田先輩はもう篠宮先輩の誕生日プレゼント用意しました?」 ニコニコしながら自分を見上げる旭に固まる誠。篠宮先輩の誕生日?篠宮は夏休み中に誕生日がくるなんて言ってなかった。いや自分からは言わないか。 「才田先輩?」 「…翔くんの誕生日いつなのか俺知らない…」 旭はくりっくりの目をもっと大きくして大声を上げる。 「えぇっ!!!???ダメですよ!!3日後ですよ?!」 「えぇっ!!!もうすぐじゃん!」 通路のど真ん中で大声を上げる二人を通行人は怪訝な目で見て行くがそんなの気にしている余裕はない。 「て言って田中先輩の誕生日、5日後なんですけど僕も用意してないんですよね。だから今日誘ったんです!」 「…そ、うなんだ…って旭くんももうすぐじゃん!!」 誕生日プレゼントといっても篠宮が何が欲しいか聞いていないので選びようがないし、友達に、いや恋人に誕生日プレゼントを買った事なんか無いから一般的に何を誕生日プレゼントとして渡すのか分からない。 「あ、何渡せばいいかわかんないって顔してますね!」 「う、うん。何が欲しいかとか今聞けないし…」 「僕は形に残る物にします。田中先輩って意外とモテますし…だから僕とお揃いの物をプレゼントするつもりです…えへ…」 そう言う旭はいつもの旭より少し幼く、そして可愛く見えた。 (田中のこと大好きなんだなぁ…) なんかこんなに可愛い子が田中の恋人って…勿体ない…。 思わず撫でくり回したくなる。 「才田先輩も!ぜったいお揃いの物をプレゼントした方がいいと思いますっ!」 「…じゃあ…そうしようかな」 そうと決まれば!と旭と誠はお揃いの物を探す為に雑貨屋に足を踏み入れた。

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