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第45話
「映画、面白かったですねぇ」
「ちょっと切なかったけどね…」
映画の感想をぽつぽつ話しながらショッピングモールを出ると、夜だというのに夏の蒸し暑く重い空気が襲ってきた。
誠と旭の鞄の中にはそれぞれ綺麗にラッピングしてもらったプレゼントがある。
「今日は才田先輩とたくさん話せて良かったです!」
「俺もだよ」
社交辞令ではなく本当にそう思ってそうな旭に、じゃあ、と手を振りお互い自分の部屋へ戻った。
当たり前だが篠宮はまだ数日帰ってこないので出迎えはなく、リビングもシーンとしている。
「…翔くん早く帰ってこないかな〜…」
入浴を済ませ、課題を進めながらぽつりと呟いた独り言は思ったより大きく、一人なのをより強く実感してしまった。
「やーめた」
ため息と共にシャーペンを置く。
篠宮がいないと分からない所を質問できないし一人だと中々集中もできず、早々にワークを閉じた。
篠宮が帰ってくるまであと3日か4日だろうか?
それよりもっと早いかもしれないし遅いかもしれない。
もしかしたら再会を喜ぶ両親に引き留められて長引くかも・・・。
「・・・・・・・・・」
(それはちょっと、いや大分寂しい・・・。)
ただでさえ一週間と聞いて長いと思ったのだ。
それ以上なんて困る、篠宮不足で死んでしまう・・・。と思った自分に誠は驚いた。
櫟田と付き合っている時は、『寂しい』という思いをした事がなかった。いつも人に囲まれている櫟田と両思いになれて、付き合えて、身体を重ねたりして、部活帰りに話せているそれだけで奇跡、そう思うくらいの距離だったから。
それだけで満足していたから、櫟田に多くを求める事はなかった。求めても、返ってこない悲しさを味わいたくなかった。
でも相手が篠宮に変わると不思議な事に、感情が忙しくなる。部屋で話していても会話が終わるのが怖いし、クラスメイトとの距離が近いと不安になってしまう。篠宮が笑うと嬉しいし、何か喜んでもらえるような事がしたい。
──それにもっと、もっと触れ合いた、・・・
「・・・寝よう!!!」
ガンっと机に打ち付けた額が痛い。
一瞬だけ、篠宮はどんな顔でセックスをするのか想像してしまった。
きっと、予想だが、とてつもなくエロいんだろうな、と誠は漠然と思った。
「ね、ね、、寝る・・俺は寝る・・欲求不満なのか?」
それから自分のベッドに潜っても篠宮の事が頭から離れなくて、今日だけだから、と言い訳しながら篠宮の部屋で眠った誠だった。
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