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第46話
誠に会いたすぎて予定より三日短縮、その上、始発でぶっ飛ばして帰ってきた篠宮はドアの鍵が大きな音を立てないように慎重に鍵を回していた。
両親を丸め込むのは意外と簡単だった。
親は喧嘩三昧の元不良息子を監視下に置きたい気持ちもあるが、早く戻って勉強したい、と適当に言うと更生した息子を応援する気持ちの方が強かったらしく、あっさり帰るのを許可されたのだ。
まぁ、本当の理由が恋人に早く会いたいから、しかもその恋人は同性の男だなんて言うと勘当間違いナシだが。
「・・・ただいまー・・・」
無事に最小音量で鍵を解錠すると、静かにドアを開け、いつかの日のように忍び足で廊下を進む。
もう時間は9時過ぎだがもし誠が寝ていたら・・・と考えると無駄な音は立てられない。
「・・・ふぅ・・・」
ひとまず誠の姿がリビングにないのに安心し、荷物を置こうと自室のドアを開けるとベッドにあるはずのない膨らみが一番に目に入った。
嘘だろ!!と叫びたくなる気持ちを必死に落ち着かせてタオルケットをそっっっっとめくると、予想通り眠り姫よろしく包まって目を閉じている誠がいた。
「かっ、・・・ン゛っ」
(かわいい!!!!!!俺の誠が大優勝だ!!!!!!)
バッと口元を押さえ萌えのせいで漏れそうになる唸り声を必死に堪える。
スースーと寝息をたてる誠は当たり前だが篠宮が帰ってきたのに気付かずまだ起きない。篠宮はチャンスだ、と思い、スマホのカメラを起動させる。
「…誠、まこと〜…撮るよ〜…」
「…んー…ん」
チャンスだけど申し訳ないので一応声を掛けると、返事とは呼べない声が返ってくる。しかし篠宮は返事だと決めつけシャッターボタンを押した。
「まこと…はぁ…本当に…かわ、」
「しょ…く…」
鳴り響くシャッター音でさすがに気付かれたか、と慌てて画面から目を離し誠を見ると、誠は眠ったまま首を左右に振ってウンウン唸っている。
「…ぁ、っ…」
「…誠?」
「ダメ、…そこ、」
「…」
ぽつりと呟いてまた寝息をたてだす誠。
そこって、どこだ・・・。しかもなんか今の声エロかっ、たしどんな夢見てんだ???
「…んん…あ、…めっ!」
「めっ?!?!?!」
ぼんやり寝顔を見ながら考えていると突然の『めっ!』に驚いて大声を出してしまう。
次の瞬間、誠の手が急にフラリと持ち上がりヒュッと篠宮の頭を叩いた。虫を叩く夢でも見ているんだろうな…。
「いてっ」
「アっ…ん」
振ったせいでだらんとベッドからはみ出した腕を掴む。
元に戻してやろうとしただけなのに、また誠の唇から艶めかしい喘ぎのような寝言が漏れて篠宮は動きを止めた。
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