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第49話

「ねぇ、夢に俺が出てきたって何?」 「…いや、…嘘です…聞き間違い、ぅわ!」 誠は返事をするのに一生懸命になり、次第にタオルケットを握る力が弱くなる。それに気付いた篠宮は一気にタオルケットを剥がして誠の細い両手首を掴んだ。 「夢に俺が出てきたって、何?」 ぐっと顔を近付けながら再度聞く。 誠は篠宮の顔が大好きなのを分かっているから、篠宮はニコっと笑い首を傾げてみた。 「近っ、いやあの、でっ、てきたっていうか、…想像しちゃった…」 ぽつぽつ蚊の鳴くような声で呟き出した誠に、篠宮はうんうんと頷く。誠の顔は可哀想なくらい真っ赤になっている。 「違う違う違う!一週間、会えないの寂しくなった!だけそれだけだし!!」 篠宮は誠が早口で言うのを聞いて手をパッと離した。 「……寂しかった…って…」 可愛すぎる…可愛すぎて白飯何杯でもいけそうだ…と篠宮は冗談抜きで思った。 そしてまたタオルケットにくるまった誠を上からぎゅーっと抱き締めて囁く。 「俺もだよ…寂しくて帰ってきた。」 「…ほんと?」 「うん」 篠宮の言葉を信じて誠はもぞもぞタオルケットから出てきた。篠宮のベッドでタオルケットから顔を出す誠、まるであまり懐かれない黒猫に懐かれたみたいでキュンキュンが止まらない篠宮。 「てかさ、あの…」 「うん?」 そこまで言って口篭る篠宮に誠は首を傾げる。 篠宮には気になっている事があった。それはリビングのソファに置かれていた小さめの紙袋。まぁ、無防備に置かれていたら覗いてしまうのが人間の性だ。中には可愛くラッピングされた何かが入っていた。 「あの、リビングの袋、誰かから貰ったの」 「…リビングの袋?」 誠は更に首を傾げた、かと思いきや何かを思い出したのか一気に顔を真っ赤にさせる。 篠宮はそれを見て眉を顰めた。なんで赤くなる? 誰だ?後輩か?でも誠と仲の良い後輩はそう居ない。いても旭だろう。でもその旭は田中と付き合っているし、そういう関係には絶対ならない。 なら他の男、それしか考えられない。 篠宮は自分の声が思わず低くなるのに気付かず誠に詰め寄る。 「誰から?」 「見たの?」 篠宮が頷くと誠は更に真っ赤になってベッドからおりる。 「誠?」 「ちょっと待ってて」 そしてそのままリビングへ向かった。

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