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第50話
すぐに戻ってきた誠の手にはあの紙袋。
しかも誠の顔がさっきより真っ赤な気がして篠宮は気が気でない。
「誠、誠、それ」
「ううううん!ちょっと待って!」
誰からの贈り物なのか、中身は何なのかが気になって仕方がない篠宮。
そんな心配は他所に、今更 二枚で一組のハンカチはちょっと恥ずかしかったかな?と思い始めた誠。
篠宮はそんな事は知らずにそわそわしている。
「誠、誠」
「誕生日プレゼント!!俺から翔くんに!」
篠宮のそわそわも限界、…と言う所で誠は取り出した小袋を篠宮の目の前にずいっと突き出した。
「……誠から俺に…?」
「あの、旭くんと出掛けた時に買った…ハンカチ」
綺麗にラッピングされた袋を受け取る篠宮。
篠宮はそっとそのリボンを解き、中からやけに可愛らしいハンカチを取り出した。
見た時の率直な感想は『中学生が使ってそう』だった。
だがしかし、そんなハンカチも誠からの贈り物となれば どんな高級ブランドのものにも劣らない。
「二葉?可愛いね、ありがとう誠」
篠宮の知っているクローバーは4枚。これは二つしか葉が無かったので二葉だと思う篠宮。
誠は篠宮が、実はこれは2枚くっ付けたらクローバーになるという事に気付かないならそれでもいいと思っていた。
でも旭の『ガッツリ アピール』を思い出して、いやいや、俺もアピールしないとと思い直した。
そして自分のハンカチを持ってくるために自分の部屋へ駆け出した誠を篠宮は驚きながら見送る。
すぐに戻ってきた誠は、篠宮の手からハンカチを取って床に二枚並べた。
「翔くん!あのね、二葉じゃないんだよ、くっつけたらクローバーになるんだよ」
「………」
「…お揃い…にしちゃった…」
「……お揃い……………」
恥ずかしそうに頬を赤らめ俯く誠に愛おしさが胸に溢れ出す篠宮。
キスしていい?なんて訊くのは野暮な気がして、誠の後頭部に手を回して引き寄せた。
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