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3-性的魅力とその弊害についての考察(4)*
準備に追われるスタッフの方々の邪魔にならないよう、スタジオの端で様子を見ていると、背後から声をかけられた。
「あ、えーと、越野くん?申し訳ないけど頼みたいことがあるんだけどな」
「はい、何でしょうか」
声をかけてきたのは千田プロデューサーだった。
「倉庫から持ってきたいものがあるんだけど、ちょっと私腰を痛めててね。手を貸してくれないかい?今人手が足りなくて」
「はい。いいですよ」
曲がりくねった廊下を進み、階段を降りる。
地下に降りると狭い通路に倉庫が並んでいて、迷子になりそうだ。
「えーっと、3-Cなんだけど……ああ、ここだ」
倉庫の一つを開けると、明かりをつけて俺に中に入るよう促した。
金属の重い扉が音を立てて閉まる。
中はラックに無数の段ボール箱が並んでいて薄暗く見通しが悪い。
千田さんはどんどん奥へ進んでいく。
ちょうど部屋の中央に柱があり、行き止まりになっていた。
その手前で千田さんが足を止める。
「あー、これだ。この真ん中のやつ。お願いするよ」
段ボールに手をかけると、かなり重い。簡単には持ちあがらない。
「ずいぶん重いですね。運ぶなら台車か何かないと無理ですよ」
いったん手を離し、俺は腰を入れて持ち上げ直して……次の瞬間、背筋に突如寒気が走った。
ぞっとする、不快な感触。
「……ふふ、やっぱり可愛い。顔も好みだけど、いいケツしてる」
後ろに立った千田さんが嫌な手つきで俺の尻をなで回している?
「は?ちょっと、やめてください」
拒絶の声は千田さんには届かない。
重い段ボールをようやく下ろしてその手を振り払おうとすると、背後から現れたもう一人に手を掴まれた。そのまま両手を揃えて捉えられて、手際よくあっという間に後ろ手にガムテープか何かで拘束された。
「や、ちょっと、何してっ」
気持ちの悪い手は相変わらず尻を這っている。
時折中央の窄まり辺りをぐにぐにと指で弄ってくるのが更に気色悪い。
思わず逃げ腰になり、バランスを崩して俺が膝をつくと、目の前が真っ暗になった。
目隠しをされた?
いやだ、怖い。
何も見えない、何をされるかわからない。恐怖。
誰かわからない手にくすくす笑いながら頬を撫でられる。
ワイシャツのボタンを外されて、露わになった胸を弄られる。
「ふふ。綺麗な色してる。勃ってるよ?もしかして、キモチイイの期待してる?」
ぬるりと乳首を舐められて、思わず悲鳴を上げそうになった。
快感などどこにもない。ただ気持ち悪さが募っていくだけ。
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