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3-性的魅力とその弊害についての考察(5)*
「あは。怖がってる顔も可愛いねぇ。普段の澄まし顔もよかったけど。目隠ししてるのが惜しいなぁ」
カチャカチャとベルトを外す不吉な音がして、ぬるついて熱い何かが唇に押し付けられた。
吐き気がして顔を背けたが、すぐに頭を掴まれて前を向かされる。
唇を割って性器が口内を犯す。
思わずえずきそうになった。
「分かってるだろうけど、歯なんて立てたらだめだからね?」
髪を掴んで、無理やり喉まで突かれる。
口淫に気をとられているうちに、スラックスと下着を脱がされていたらしい。
下半身が寒いのにはっと気づいた。
「さて、こっちの味はどうかな」
四つん這いになった俺の後ろにもう一つの人の気配を感じ、俺は総毛立った。
知らない手が尻を掴んで、孔に質量のある熱い塊が力ずくで押し入ってくる。
嫌だ、来るな、触るな、いやだ、いやだ、いやだ……っ!
「……ひっ、んぐっ」
痛みに悲鳴を上げかけたが、叫ぶために開いた喉に性器を突っ込まれて声にもならない。
後ろもずぶずぶと無理やり肉襞を押し分けて体内を犯していく。
引き裂かれそうな痛みと、絶望が脳を塗り潰す。
「んぁ……キツさがちょうどいいわ。中とろっとろだし。もしかしてこいつ、ヤり馴れてねぇ?」
「ははっ、あり得る。だってエロい顔つきしてるもん。初めて見たときから犯したくて堪んなかった」
糞野郎共が何か言ってやがる。
ああ、こいつの陰茎食い千切ってくれようか。
しかし、歯を立てようとする度に、鷲掴みにした髪を力任せに後ろに引いて牽制される。
「あぁ……入った。熱くてとろけそうでたまんねぇ。お前相変わらず上物見つけてくるの上手いな」
「ふふん」
「さて、動くぞ。精一杯気持ち良くしてくれよ」
馴らすように前後に少し動いたかと思うと、思い切り腰を引かれ、抜ける寸前から、一気に奥へ打ち込まれる。
「あっ、ぅ、んがっ」
肌を打ち付ける乾いた音が薄暗い部屋の中で響き渡る。
乱暴に抽挿されるそれが、俺の敏感な部分を擦りあげる。
擦られる度、吐き気を催すほどの快感が、挿入された性器を己の意志とは裏腹に締めつけるのが分かった。
自分の浅ましさに目隠しの奥で涙が溢れる。
「んぁ、こいつ滅茶苦茶気持ちいいわ。一回で終わらせるのもったいねーな」
「また呼んじゃう?小原悠なら今人気あるし、ちょっと間空ければ再登場してもおかしくないでしょ」
は?何言ってるんだ?
「こないだ、トーク番組出てたよな?割と喋れてたし、俺の方で呼ぶのもありかも」
まさかこいつら、言うに事欠いて、悠さんを出しにしようって、そう言ってんのか?
悠さんは、悠さんはな、お前らなんかが駒にしていいような人じゃねぇんだよっっ!!
無我夢中で手の拘束を外そうともがくが、後ろの男の失笑をかっただけだった。
「どうしたこいつ、急に抵抗なんかしちゃって」
前の男は、俺の髪を掴んだ手に力を込めた。
「大人しくしててよね。あんまり暴れると、君だけの問題じゃなくしちゃうよ?」
……。
「そうそう、大人しくしてれば可愛がってあげるから」
口は口で、遠慮なく好きなだけ悦楽を貪られる。
「あー、こいつの喉、たまんねぇ……っ」
一際大きく喉を突かれたかと思うと、液体が口の中で弾けた。
「ちゃんと全部飲んでよ。溢しちゃだめだからね?後始末も頼むわ」
お掃除フェラまで強要される。
俺はもう、早く終われとばかりに、精液を無理やり飲み下して性器に舌を這わせた。
背後で男が呻く。
「あー、もうイくわ」
「はっ、お前、早くないか」
「いやだって、キツくて熱くて気持ち良くって……っ!」
俺の中で、熱源が痙攣した。性器を抜かれ、どろりとした嫌悪感が溢れて太股を流れ落ちていく。
その時だった。
廊下から、かかかかかっと勢いよく階段を駆け下りてくる一つの靴音がした。
何かを探すように倉庫のドアを一つ一つチェックしている物音が近づいてくる。
「やべっ、おい、鍵まではかけてないぞ」
「黙ってればバレねぇよ」
やがて3-Cの倉庫のドアが開いた。
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