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4-ゆらぐな危険!(18)

最後の悠さん宅に着いたのは、夜七時を回った頃だった。 光は今にも寝そうな目で悠さんに寄りかかっている。 「光、眠いか?」 「ん……だいじょぶ……です……」 「もうすぐ着くからなー」 「ふぁい……」 もう最後は返事だかあくびだか分からない。 「着いたらすぐ風呂だな。光がもたなそうだ」 「そうですね」 信号を曲がって緩くカーブした道を道なりに走り、三つ目の角を曲がる。 住宅が並ぶ中、木立を挟んで一軒だけぽつんと離れて建っている家。 これが悠さんの家だ。 空いているところ、というかだだっ広い空き地に車を止める。 「光、着いたぞ。歩けるか?」 「ん、ん……」 光は半分眠ったままで、悠さんの腕にしがみつく。 ゆらっと頭が揺れたかと思うと悠さんの膝を枕にして眠ってしまった。 「ったく、もう、しょうがねぇなー」 可愛いなーのイントネーションでしょうがねぇなーと言う悠さんは、頬を緩めると車から降りた。 座席から光を抱き上げると、すたすたと家に向かって歩いていく。 「颯人、悪い、バッグ頼むわ」 「はい」 俺は三人分の荷物を持つと車をロックした。 悠さんに遅れて家に入ると、光がソファに寝かされていた。 「タオル適当に置いとくから好きなの使ってくれ。風呂は今入れてる」 「ありがとうございます」 「部屋はこの間颯人が使ったとこな」 「分かりました」 風呂が入ったことを知らせる電子音が流れ、光が目を覚ました。 「ん、あれ……ここどこ……」 不安そうに眠そうな目をきょろきょろさせているので、俺は名前を呼んで光の隣に腰を下ろした。 「ここは悠さんの家ですよ。今日は一日頑張って疲れましたか?」 「えと、ちょっとだけ疲れました」 光がまだ眠気の残る顔で見上げてくる。 「じゃあ、お風呂入って寝ましょうね。お風呂はもうできてるみたいですから」 「はい」 二人で風呂に入る。光と一緒に風呂に入ったのはいつぶりだろう。 前は俺が髪を洗ってやっていたが、もう自分で洗えるようになっていた。 大きくなったんだなと、感慨深く風呂に沈んだ。 風呂から出て、髪を乾かしてやると、後は自分で髪を梳かして歯を磨いている。 俺も髪を乾かしてリビングに戻ると、悠さんがカウンターで酒を飲んでいた。 「お、早いな。光はもう寝るのか?」 「はい。悠お兄さん、おやすみなさい」 「おう、おやすみ。また明日な」 光を寝かしつけてこようと、俺も一緒に階段を上がろうとすると、悠さんが声をかけてきた。 「颯人はまだ起きてるだろ?一杯だけ付き合ってくれよ」 「じゃあ、光を寝かしつけて戻ってきます」 「おーう。じゃあ俺その間に風呂入ってくるわ」 ウイスキーの水割りを一杯飲んで、悠さんと他愛もない話をした。 今日のコンサートの感想だとか、鏡花姉さんのことだとか、今後の楽観的な展望だとか。 夜も更けてきたところで、悠さんがあくびを一つしてお開きにした。 「おやすみ、颯人。また明日な」 「おやすみなさい」

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