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5-泣かないで愛しいひと(19)

ちゅ、くちゅ。 静かな部屋の中で、湿った音が微かにしている。 しかし、俺の耳にはそれをかき消しそうなくらいの心臓の鼓動が響いていた。 口内を優しく愛撫する悠さんの舌。 指を絡めあった熱い右手。 俺の中をゆっくり探っている悠さんの長い指。 襲われたり、その後始末をしたりしたから、もうほとんど解れていたけれど、それでも悠さんは丁寧に、痛くないようにしてくれた。 ローションの滑りを頼りに指三本をぱっくり飲み込んで、淫らな音を立てている。 「んぅ」 思わず眉根が寄る。 「ふふん。ここが颯人の好いところなのか?」 とんとん、とノックされて、体が震えた。 すがるように上目遣いで悠さんを見上げる。 「はぅっ、気持ち、いいけど、ぴりぴりします」 「そのうち慣れたらぴりぴりしなくなるから」 中で指をバラバラに動かされると、そのぴりぴりするところに指が容赦なく当たって、自分のとは思えないほどやらしい声が出る。 恥ずかしくて口を閉じるけど、悠さんはそれを許してくれなくて、口を閉じれば閉じるほど、ぴりぴりするところを苛めてくる。 「颯人の声、ちゃんと聞かせてくれよ」 「ちょっと、さすがに恥ずかし……勘弁してください」 「やァだ。颯人のエロい声聴きてぇ」 指三本を揃え前立腺を連続して擦られて、我慢できずに吐息と喘ぎ声が口から零れた。 「んあっ、はっ……あぅ……も、やめっ」 「気持ちい?気持ちよくなったら止めてやるよ」 優しい声でちょっと酷いことを言う。 俺はもうこんなにとろけているのに。 揃えた指が円を描くように刺激してくる。 「きもちいっ、気持ちいいですからぁっ」 「無理は良くないなー」 「むり、してなっ」 頭がおかしくなってあらぬことを口走りそうなのに。 「もぅやだっ、キスのがいいっ、ぎゅってしろっ」 あ、もうおかしくなってた。言っちゃった。 「ふふっ、どうしたんだ?颯人。可愛くなっちゃって」 楽しそうに悠さんが笑って、ようやく指を抜いてくれた。 ローションに濡れた指を拭って、ちゃんと俺をぎゅっと抱きしめて気持ちいいキスをした。 「こんな可愛い颯人、もう他の奴に触らせたくない。見せたくもない。なぁ、うちに引っ越してこいよ」 「ぁはっ、何言ってるんですか、もう」 「俺は本気だぜ?頭の片隅にでも置いといてくれよ」 「それよりもキスしてください」 「はいはい。仰せのままにいたしましょう?」 くすくす笑いあって、唇を重ね、舌を絡め、唾液を飲み下す。

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