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5-泣かないで愛しいひと(20)
「ねぇ、早く、欲しいです」
至近距離の上目遣いでおねだりする。
羞恥心?何ですかそれ、知らないです。
「そうだな、俺もそろそろ挿れてぇ」
悠さんはゴムをつけてローションを垂らし、押し倒した俺の腰に手を添えた。
「ちょっとでも痛かったら、ほんとにすぐ言えよ?すぐだぞ?絶対だからな」
「はい」
熱く滾ったモノが、俺の後孔にぴとりと添う。
俺が息を吐くと共にそれはじわじわと中に押し入ってきた。
「、んはぁ……」
「大丈夫か?」
悠さんの言葉にこくりと頷く。
圧迫感はあるが、痛みは全然ない。
「ん、キツ……」
半ばまで埋め込んで、悠さんが吐息を漏らす。
「もうちょっとな。こらえてくれ、颯人」
しかしどっちかというと、俺より悠さんの方が辛そうだ。
ぐぐっと悠さんが腰を進める。苦しそうに眉根を寄せている。
「んぁ、全部入った……ケド、やばい、何だこれ」
「きつい、です、か?できるだけ力は抜いてるつもりなんですけど……」
「ああ、うん。それは大丈夫。動くぞ」
ゆっくりと熱の塊が引き抜かれていく……抜ける寸前で勢いよく引き返して奥を突いてくる。
動きは次第に早く、リズミカルになっていく。
肌と肌のぶつかる音が、荒い呼吸と共に空間を満たす。
「な、あ颯人っ」
思ったより余裕のない悠さんの声。
「ちょっと早いけど一回、イってもいい?颯人の中気持ちよすぎて、限界、なんだよ……っ」
「はぁんっ、い、いです、よ……っ!」
「悪い、な……!」
腰の動きが速く、少しだけ荒くなって奥を突いてくる。
速くなっても、俺の体を気遣ってくれているのが伝わってくる。
「ふあっ、ぁああ、あ……ん……っ!」
思わず俺も一緒になってイってしまった。一瞬気が遠くなる。
白濁した液体が自分の腹を汚した。
「ふっ……!」
それを見てから悠さんも俺の中で吐精した。
「颯人までイかなくてよかったのに。持つのか?」
からかうように悠さんが言う。
俺はわざと小さい声で言った。
「だって、悠さんが優しくするから」
「ん?」
「なんでもないです」
俺はそっぽを向いた。
「なんだよ、気になるじゃねぇか」
「ティッシュ取ってください」
「おい、照れるなよ」
「早くティッシュ取ってください。お腹気持ち悪いです」
「恥ずかしがり屋だな、颯人は」
悠さんはティッシュを求めて伸ばした俺の手をとって、ちゅっとキスをしてからティッシュを取ってくれた。
赤い顔でむくれても可愛いだけだぞ、と俺の顔を見て笑う。
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