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5-泣かないで愛しいひと(21)

「そういえば」 ふと気づいて俺は口を開いた。 「ゴムとローションなんて、よく持ってましたね。さすがにうちには置いてないんで、助かりましたけど」 「いや、実は、あわよくばって思ってたからさ。ローションはパウチだけど結構これで足りるから。今日はあと二回分しかないけどな」 だから無駄撃ちできねぇ、と、どこからともなく手品のようにゴムとローションのパウチを取り出して見せる悠さん。 「ええ?下心ありのお誘いだったんですか」 俺が少し白い目で見ると、悠さんは少し焦りを見せた。 悠さんの焦り顔は眉が少し歪んで、王子様然とした余裕が薄れて男臭さが見えるから、実はちょっと……好きだったりする。端然とした王子様フェイスももちろん好きだけど。 「い、いや。万が一ってこともあるじゃねぇか。実際、公園での騒ぎがなければ俺もまっすぐ帰ってたわけだし」 「ふぅん」 俺が冷たい返事をすると、悠さんは更に焦った声で俺を腕の中に閉じ込めた。 「なあ、そんな目で見るなよぉ。颯人ってば。……でも、颯人はもう少し自分の魅力を意識したほうが良いぜ」 「魅力?性的アピールの間違いでしょう?それでどれだけ酷い目に遭ってきたことか」 「ううん、全然違う」 俺を後ろから抱え込むようにして、頬をくっつけてくる。 恋人めいた仕草が、面映ゆくて、あったかい。 「俺がからかった時にさ、怒っても照れて頬が赤くなっちゃうとことか。しっかりしてるのに意外と甘えんぼさんで可愛いところとか。真面目そうな顔して悪戯好きで、俺のこと構うの好きなところとか。知ってる?」 ちゅっと鼻先にキスをして、また頬と頬をくっつける。なんだこの恥ずかしいのは。 「そんなの、知りませんっ」 「ほら赤くなった。かわい。ほっぺた熱くなってる」 ぐりぐりと頬ずり。 「これが無意識ってんだから質が悪いよな、颯人も」 一向に俺から離れようとしない悠さんは、とんでもないことを言いだした。 「なあ颯人、次でさ、颯人の方が俺より先にイったらさ。俺のどこが好きなのか一つでいいから教えろよ」 「ぇえ?本気ですか?」 ちょっとそれは……恥ずかしい。 「やですよ」 「なんでさ。俺が先にイったら一日颯人の言いなりになってやるから」 「でも、さっきは私が先にイっちゃったじゃないですか」 「うん。激エロだった」 「次も同じな気がします」 俺は相手に自分勝手に欲望を貪られるのに慣れてしまっているから、悠さんに優しく、気持ちよくされると、我慢の仕方が分からない。 体が勝手に絶頂に登りつめてしまう。 「じゃ、ハンデやるよ。俺、指入れないから」 ハンデ? 「……うーん……」 「さっきは先に指入れて前立腺弄ってたから、すぐイっちゃったんだろ?」 賭けはともかく、もう一回するのはやぶさかではない。 「……じゃあ、いいですよ」 「よし来た!ほら颯人来いよ。大好きなキスしてやるから」 悠さんが広げた腕に、喜んで体を委ねた。

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