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8-なつのおもいで(12)*

いつの間にか閉じていた目を開いた途端、揺れる視界の中、青い空と青い海がぼやけて見えた。 ぼんやりと、ああ、そういえば皆で海に来たんだったっけ……と思い出して……次の瞬間には、両手足を地面について、後ろから誰かに犯されていることに気が付いた。 「ん、はっっ?!あ、う、あ、ぁっ」 喘ぎながら必死に後ろを見ると、何かを堪えるように噛み締められた唇と、跳ねる長髪が視界の隅に映った。 顎先から滴る汗を拭いながら男は片頬で笑った。 「ああ……起きたか、ねえさん。飛んでたとこで悪いがケツ借りてるぜ」 「んぅ、ぁ、ぁ、あ」 先ほどの赤髪の男よりも深く、奥を突いてくる。 耐えようのない快楽が脳を侵し、体が勝手に長髪の男のソレを締め付ける。 「……っ、そう急かすなよ。もうちょっと堪能させてくれてもいいだろ?」 少し離れたところから、見物している赤髪の男の嗤い声がする。 「な?すっげぇ気持ちいだろ?イったら交代だからな」 「冗談。まだまだイかねぇよ」 「さっさとイっちゃえよ!後が支えてんだぞ」 さっき擦りむいた膝を地面について四つん這いになっているから、激しく奥を突かれる度に傷口が地面と擦れて痛いはずなのに、脳内麻薬でも出ているのか何も感じない。 ただ、膝がずれるたびに微かに赤くかすれた血の跡だけが広がっていく。 「ああ、膝、痛いか?悪いな」 言うなり長髪の男は傷のある方の脚を抱え上げた。 「んあっ」 傷口が擦れることはなくなったが、代わりにより深く奥を突ける体位になった。 奥底を突かれる度に、もっと深く、もっと深くと、欲深い俺の体が勝手に求める。 「ねえさん、手加減してくれよっ」 くわえ込んだ雄をきゅんと抱き締めて、射精を促す。 数分はそのまま拮抗していただろうか。 最後には耐えきれなくなった長髪の男が、微かに呻いて俺の中に精を放った。 ずるりとモノが引き抜かれた後、俺の中に溜まった二人分の精液がこぷりと溢れ、不快に太ももを伝う。 「ぅ、あ」 地面にうずくまって思わず唸る。 ざっと音がして、赤髪の男が座っていた岩の上から身軽に飛び降りた。 「さぁて、俺の番だな」 ところが、長髪の男がそれを制した。 「まぁ待て、ちょっと聞けよ」 長髪の男は、赤髪の男の耳元で何か囁いた。 赤髪の男は始め不審げにそれを聞いていたが、最後には口角をくいと持ち上げて嗤った。 「サキも優しい顔して案外鬼畜だな。それでいいぜ」 何を相談したのか、赤髪の男は少し離れたところで腕組みして岩壁にもたれた。

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