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8-なつのおもいで(13)*

「さて、ねえさん。息切らしてる場合じゃないぞ。まだまだ頑張ってくれよ」 そう言って先ほどの赤髪の男と同じように、俺の前で地面に座り、己の膝に手を置いて誘った。 「悪いが、ちょっとここまで来てもらえねぇか」 思考が停止した俺は、言われるままに重く気怠い体を引きずって、素直に男の膝によじ登る。 「言うことよく聞いて、いい子だな。……ちっと腰上げて。……ん、座っていいぞ」 いつの間にか復活したソレの上に跨って、抵抗することも忘れて自ら腰を落としていく。 「ん、んぁ……」 内臓を圧迫される感覚、奥を押し上げられる感触、穴を拡げられることで感じる肉欲も、背筋がぞくぞくするほど気持ちいい。 「おい、まだ締めるなよ。早い早い」 長髪の男は手を伸ばすと俺の頭を抱き寄せてキスをした。 空いた片手は後ろで俺の尻をゆっくり撫でている。 俺の頭はもうだめだ。 堕ちに堕ちて、見せかけだけの甘いキスに、誰かの影を、愛慕の情を錯覚する。 あまりの己の浅ましさに呆れ、一瞬めまいを感じて目を閉じた。 「ねえさんどうした、大丈夫か?」 長髪の男は俺を抱いたまま仰向けに寝転んだ。 結合部が擦れて、思わず眉をひそめる。 「ん、これが欲しいのか?」 言うなり、軽く腰を突き上げる。 「いやっ、ぁっ」 奥を突かれると、中に溜まった精液がかき混ぜられてぐちぐちと淫らな音を立てた。 「うっわ、エロッ。さてと、おねえさんちょっと我慢してよね」 背後に赤髪の男が立つ。 何を始めるのかと不審に思うより早く、喉から勝手にうめき声が出た。 「きつい?もうちょっと拡げよっか。ね?」 結合部に入ったのはおそらく指だ。 数回出入りするうちに、いつの間にか本数が増えていく。 そして。指を全部抜いたかと思うと、代わりに赤髪の男もソレを挿入した。 「ひっ、痛っ、やめっ」 俺の必死の声は届かず、全て入るまで、少しずつ深くしながら抽挿を繰り返した。 今にも裂けそうで、限界ぎりぎりの痛みが目の前を明滅させる。 「あっはっ!すげぇや、サキ。入ったぜ」 「おう。きっついわー」 「動くぜー。おねえさん、もうちょっとだから頑張って」 「い”、痛」 俺の悲鳴は無視されて、赤髪の男がゆっくりと抽挿を再開した。 ローションが足されて、精液と混ざり合い卑猥な音を立てる。 くちっ、ぐちっ、くちっ、ぬちっ。 「う、あー……ヤバい。これヤバい。クセになりそう」 次第に痛みと愉悦も俺の中でぐちゃぐちゃに混ざり合って、何も分からなくなる。 俺の下にいる長髪の男が小さく呻き声をあげ、赤髪の男が溜めた息を吐き出すまで、それは続いた。 ◇ ◇ ◇ 二輪挿しから解放された後、放心状態の俺は、そのまま見張り役だった四人の男にかわるがわる犯された。 自分の体が自分の物ではないような混乱の中犯されるのは、それほど辛くはなかった。 少し離れたところから自分を眺めているような、まるで他人事のような感覚に陥った。 ひとわたり男たちが満足したところで、見張りに立っていた赤髪の男が戻ってきて声をかけた。 「おいお前ら、そろそろ撤退しようぜ」 「んー……。セイ、そのタオル貰ってもいいか?」 「ほい」 赤髪の男が汗を拭っていたタオルを、長髪の男に投げ渡す。 「跡つけられても困るしな。ねえさんにはしばらくここにいてもらうよ」 後ろ手にタオルできっちり縛られ、水をかけられた。 濡れたタオルは摩擦が大きくて、力を込めても解ける様子はない。 「タオルが乾いてきたら解けるから。……じゃ、楽しませてくれてありがとな」 彼らが去った後には、ぽつんと俺だけが取り残された。

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