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第3話
夢のない眠りから覚めた心地で、アルトニーは二、三度眼を瞬かせた。
夢……は、やはり見ていないような気がする。
ウァラウムとの死闘。
あれが夢であってたまるものか。
それにしても。
(どこだ、ここは)
首をひねり、寝返りを打ってみた。
清潔で寝心地の良いベッドに、アルトニーはその身を横たえている。
体には白いキトンを纏い、一室に寝かされている。
周囲には必要最小限の家具類が置いてあるだけで、何の個性も見い出せない部屋だ。
病院だろうか。
しかしその数少ない家具にはよく見ると凝った装飾が施されており、合理性だけを求める病室とは異なる雰囲気だ。
それに。
それに、体はどこも痛まない。
あれだけウァラウムの手によってぼろぼろにされたはずの体に、傷一つ見当たらない。
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