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第9話

 もがき、ウァラウムの下から這い出そうとするアルトニーだったが、体が思うように動かない。 (アストラル・ボディとやらのせいか?)  暴れるアルトニーを軽々と押さえ込んだウァラウムは、キスは諦めたのかその舌を首筋に這わせ始めた。  ねっとりと往復する分厚い舌は、時折信じがたい器用さで耳をなぞる。  馬鹿な。  アルトニーは、驚愕と羞恥から思わず口を開いた。  まさかこの男、私を……凌辱……ッ!? 「ばッ、馬鹿はやめろ、ウァラウム! 誰がお前などと……ッ! それに、私はお前を殺した敵だぞ!? 憎くはないのか!」  必死なアルトニーを嘲笑うかのように、ウァラウムはにやにやと舌を使う。  そして、その合間に気怠そうに喋るのだ。 「言ったはずです。私は死んでも死なない、と。それにね、できればあなたに殺してもらったこの時に、聖戦を終わらせて欲しかったですね。愛しいあなたに、永劫の死を告げられたかったですね」

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