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第10話

「や……めろ……ッ!」  ぞくり、と背筋を電流が走った心地がした。  抗っても抗っても、まるで無視して責め立ててくるウァラウム。  くっくっと喉で笑い、鼻先を顎に擦りつけてくる。  ゆるゆるともたらされる、くすぐったさの中に潜む快感に、硬く結んでいた唇が思わず緩んだ。  そこを逃さず、もう一度ウァラウムはアルトニーに口づけてきた。 「ぅくッ! ……ん、んぅ……ッ」  敵同士で、殺し合いをしたとは思えない、甘い熱いキス。  ウァラウムの舌はアルトニーの咥内へすぐに侵入し、その甘い唾液を舐め、細い舌を吸い、真珠のような歯列をなぞった。 (だ……めだ……そんな……あぁッ……)  拒んでも拒んでももたらされてくる快感に、アルトニーの思考は痺れてきた。  思えばこの体、これほどまで深く激しく他の人間を受け入れたことなどなかった。  初めての経験に、快楽に、溺れそうな危うい予感を、アルトニーは感じてぞっとした。

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