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第25話
「アルトニーッ!」
自分の上げた歓喜の声が、まるで他人のもののように耳に響いた。
戦地で相まみえた時、あれほど反抗的だった瑠璃の眼が、潤んで熱く私を映す。
折られても折られても、ただひたすら魔拳を繰り出し続けた白い指が、優しくひたむきに私の肌に触れる。
解かっているとも。
私を愛したわけではない。
身も心も、隷従したわけでもない。
ただ、その身を焦がす未知の快楽に従ったまでのこと。
誇り高いアルトニーが、そう易々と屈するわけがない。
そう解かっていても、ウァラウムの心は満たされた。
ただ、背にまわされた掌のぬくもりを忘れまいと、心に刻んだ。
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