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第一章・2

 口の端を、にやりとあげて笑って見せる。  誰か、この不敵な笑みに気付いただろうか。  ここ魔導学校にて、四半期に一度の、魔闘士候補生たちの闘技会が今から執り行われる。  初めて参加する者もいれば、ずいぶん長いこと候補生暮らしをしている者もいる。  様々な修行地から年に四回集まって、互いの技を競い合い交流を深めたり、自分の実力が今どのくらいのものなのかを確かめたりするわけである。  魔闘力が一定レベルに達していれば、この学校に入学できる。  そして、一人前の魔闘士を、大魔闘士を目指すのだ。 (今期もたいしたことねえな)  校長の話に飽きた明は、下方の面々を見渡した。  その時、一角で小さなざわめきが起こった。誰か倒れたらしい。 (おいおい。マジかよ)  訓示の最中に貧血で倒れるなど、前代未聞である。  明の隣にいた山羊座の大魔闘士・冬月 柊一(ふゆつき しゅういち)が、眉をひそめた。 「信じられんな。魔闘士以前の問題……」  柊一が途中で息を飲んだわけは、明にもすぐに解かった。  大丈夫、と周りに頭を下げながら立ち上がったその候補生は、信じられないくらい美しかったのだ。  年齢は、明や柊一と同じくらいの15~16歳か。  長い髪を後ろに束ね、白い首筋をさらしている。  手足はすらりと長く、その面立ちはまるで美術館から抜け出してきた彫刻のようだ。

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