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第一章・10
(いや、男同士だし!)
そうは言っても、何となく見ることがはばかられた。
まともに見ると、目が潰れてしまうかもしれねえぞ、と自分に冗談を言いながら、愛が身じまいをする衣ずれの音を聞いていた。
静寂に耐え兼ね、明はひねりにひねった頭から出てきた名案を口にした。
「なあ!」
「はい?」
「夜は、空いてるか?」
「夜は座学があります」
「じゃあ、その後。星を一緒に見ようぜ。天文台に連れて行ってやる。そこで、星見のジジイにいろいろ話聞かねえか?」
明はそこまで一気に言うと、振り返った。
愛の身じまいはすでに終わっており、彼はこちらをまっすぐ向いていた。
愛は、笑顔を見せてくれた。
しかし、その笑顔に明は妙な違和感を覚えた。
違う。
こいつは、もっと輝くような笑顔でオレに礼を言うはずなんだ。
そんなヤツのはずなんだ。
愛の顔は笑っていたが、眼は笑っていなかった。
それはまるで、人形のように感情のない眼だった。
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