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第一章・12
食堂はにぎやかなざわめきに満ちていたが、明の耳には癇に障る下品な複数の笑い声が飛び込んできた。
少年Aたちだ。
せっかく愛と話した後だ。傍に座りたくない気分だった。
しかし声の主たちは明の姿を目ざとく見つけると、一人分席を開けてそこに座るよう手招きしてきた。
「なんだよ。盛り上がってるな」
座りながら、パンを二つにちぎる。早く終わらせて席を立つつもりだった。
「まぁな。楽しい事した後だからよ」
蟹座予備生たちは全員にやにやと顔をゆるませている。
「楽しい事?」
明は嫌な予感がした。
「あのカワイコちゃんだよ」
「最高だったよな」
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