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第一章・13
まさかてめえら、と明は、一番近くにいた少年Aの襟首を絞り上げた。
Aは大げさにばたばたと手を振り回し、他の少年たちはげらげら笑いながら明をなだめにかかった。
「お前が一抜けたしたんじゃねえか~」
「悪かったよ。今度はお前もちゃんと誘うからよ!」
明は舌打ちすると、思い切りAを少年たちに向かって押しのめした。
派手な音を立てて食器がひっくり返り、食堂は一瞬静まり返った。
もう食事をとる気も失せてしまった明は、椅子を蹴り立てて席を立った。
食堂を後にする背中に、少年たちの含み笑いが届く。
どこまでも、明はひがんでいる、としか思われていないようだった。
しかし、これ以上暴れても逆効果だ。
明の頭に、さっき別れたばかりの愛の顔が浮かんだ。
自分もあの少年たちと同類と思われていたのかもしれない、と考えると癪だった。
腹の虫はなかなか収まらなかった。
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