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第一章・14
深夜零時きっかりに、愛は待ち合わせの場所に現れた。
簡素な室内着に身を包んでいたが、愛はやはり美しかった。
こいつはどんな格好をしても綺麗なんだな、と明は妙に感心した。
手に提げた小さなカンテラの火が揺れ、愛は明を先導するように歩き出した。
「?」
明の方から天文台に誘ったはずなのだが、愛はどんどん先を歩いていく。
おい、と声をかけた時には、納屋の入り口に二人は立っていた。
「どうぞ、こちらへ」
「何でこんなところに」
背中を押されるようにして納屋の中に入った明の鼻に、よく乾いた干草の香りが漂ってきた。
愛は、ちょこんとその上に腰かけている。
つられるように腰を下ろした明は、次の瞬間飛び上がった。
愛が、いきなり服を脱ぎだしたのだ。
「おい! おいおい、ちょっと待て! 何のつもりだ!?」
「え」
自分の方がよっぽどわけが解からない、といった表情の愛である。
明は、耳が熱くなるのを感じた。
「まさかお前、オレがそういう意味で誘ったと思ってるんじゃねえだろうな」
「違うんですか?」
「違う!」
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