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第一章・20
そんなことはない、と男は愛の頭に広い掌を乗せて撫でた。
「せっかく授かった運命だ。がんばって精進して、大魔闘士を目指しなさい。それから」
男は、書付を愛に手渡した。
「3月10日。これがお前さんの誕生日だ」
愛は、書付を手のひらで包み目を閉じた。
自分が生まれた日。
それが決まっただけで、この地上に初めて足を付けたような気持ちになれた。
「ありがとうございます」
愛は男に礼を言い、そして明の方を向いて、もう一度言った。
「ありがとうございます。左近充様」
愛の涙声に、明は大いに照れた。
「まぁ、こうなることは解かってたけどよ」
よく言うよ、と男が笑う。
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