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第一章・23

 そのとたん、わっと歓声が上がった。  慌てて目線を戻した明が見たものは、愛が派手に吹き飛ばされる姿だった。 「ちくしょう。お前のせいだぞ! 柊一!」 「なぜ俺のせいなんだ!」  審判のストップがかかり、愛の負けが決定した。  高らかな宣言を聞いて、明は大きなため息をついて天を仰いだ。 「4引き分け3敗か~。勝てねえなぁ~」  仮にも魚座が第一位の守護星座のはずである。  そこそこの実力を持ってしかるべき愛が、ここまで勝てないとなると、今後に響くだろう。  下手をすれば、他の候補生が大魔闘士になってしまうかもしれない。  負けた愛同様、いやそれ以上に肩を落とす明だった。

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