25 / 259
第一章・25
広い学校の敷地内を隅まで歩いてようやく到着した花園は、たくさんの花々で彩られていた。
たちこめる香りは甘く、愛はいっぱいに息を吸った。
「気に入ったか?」
「とっても」
「ま、そのうちお前がこの花園の守護者になるんだけどよ」
「まさかここは」
「花迷宮だよ」
明は、花の中を歩き始めた。
愛も慌てて、それに続く。
しばらく行くと、高い場所へと昇る階段が目の前に現れた。
階段の脇にも、何か植物がうっそうと茂っている。
「こいつが魔導薔薇だ」
「魔導薔薇」
「魚座の大魔闘士が魔力を高めると、この階段全部を埋め尽くして真っ赤な猛毒のバラの花が咲くらしいぜ」
愛は、驚いてバラの枝に触れた。
枝には、ふくらみかけた花のつぼみがたくさんついていた。
こんなに愛らしいのに、猛毒とは信じられなかった。
ともだちにシェアしよう!