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第一章・39
古井戸で、愛は明を待った。
今回の事件の犯人が誰であるか、愛にも見当がついていた。
(あの時、私が泣いたりしなければ)
こんなことにはならなかったかもしれない、と愛は悔いた。
身体の痛みから自然に涙が出ることはこれまで何度もあったが、心の痛みで涙を流すのは初めてだった。
心の扉を閉じてさえいれば、どんなことがこの身に起きても平気だったはず。
だが、明の前では、つい心が緩む。
(私は、弱くなっちゃったのかな)
「愛」
「あ。左近充さ……明」
現れた明は、いつもと違って深刻な顔をしている。
愛の心は、ざわめいた。
「お前、神官になるのか」
明の声は、いつもより低い。
愛はおずおずと答えた。
「あ。まだ確定じゃないけど、お師匠様がそういう話もあるから、って」
「違うだろ? お前は魚座の大魔闘士になるんだよ」
「でも」
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