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第一章・40
沈黙が重い。
耐え兼ねて、明は切り出した。
「お前、いつも夜の20時から零時の間に何してる」
怒気を含んだ明の言葉に、愛は胸に石を詰められた気分になった。
唇が震える。
この状況では、はぐらかすこともできそうにない。
しかたなく、固く閉ざされていた口から出た言葉は、明ができればはずれて欲しかった返事だった。
「夜伽を、仰せつかってます」
くっ、と明は喉を詰まらせた。
「相手は高等神官だな」
「……はい」
「師匠に、やらされてんだな」
愛は、黙ってうなずいた。
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