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第一章・46
「みんなダメなのかい」
そう言う紗英のつぼみも、いまにもしおれそうに首をうなだれている。
「あの。それは?」
思い切って声をかけた愛に、紗英は今気づいたというふうに大げさに肩をすくめた。
「おや。あんたいたのかい? ひょっとして、知らないんじゃないだろうね。花迷宮の魔導薔薇を」
他の魚座がはやし立てるように、騒ぐ。
「初めから見込みがない者には、渡されてないんですよ。きっと」
「闘技会で一勝もできないんじゃあねぇ」
「貧血起こして倒れちゃってもねぇ」
くすくす笑う少年少女に、愛は赤くなった。
確かに、一番見込みがない事には自分でも納得している。
「魔導薔薇のつぼみがつくのは、魚座の大魔闘士が覚醒する予兆なんだよ。お目付け役の大魔闘士から、バラのつぼみをもらってないのかい? これが開けば、可能性大なんだけど」
明にもらった花迷宮のバラのつぼみを、愛は思い出した。
毎日寝る前に取り出し、ながめていたそれは、花首から手折られているにもかかわらずいつまでも元気だったのだ。
急いでベルトに着けた小さなホルダーのボタンをはずし、バラを出してみた。
やはり、生き生きと生気を放っている。
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