48 / 259

第一章・48

「こいつッ。こんなもの!」  つぼみをむしり、紗英は地面に叩き付けた。  しかし、紗英はもう一度目を丸くすることとなった。  慌てて愛が拾ったつぼみは、その掌に包まれるやいなや、再び生気を取り戻したのだ。 「ま……まさか、あんた。ホントに」  周囲の魚座も、その輪を狭めて愛をぐるりと囲んだ。  認めたくない。  だが、現実が目の前にあった。  この新参者が魚座の大魔闘士に一番近いことを、全員が肌でひしひしと感じていた。 「あんた、魚座の大魔闘士に名乗りを上げるつもりかい」  紗英の問いに、愛は改めて自分の運命を振り返った。  誕生日も、守護星座も、すべて星見の賢者から賜ったものである。  もしかしたら本当は、自分は魚座でも何でもないかもしれない。  でも、と首を振った。  明がそうだと言っている。お前は魚座の大魔闘士になるんだ、と。  明と肩を並べることができれば、どんなにいいだろう。  何かあれば、二人して戦うのだ。そのために命を落としてしまう事になっても後悔はしない。

ともだちにシェアしよう!