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第一章・48
「こいつッ。こんなもの!」
つぼみをむしり、紗英は地面に叩き付けた。
しかし、紗英はもう一度目を丸くすることとなった。
慌てて愛が拾ったつぼみは、その掌に包まれるやいなや、再び生気を取り戻したのだ。
「ま……まさか、あんた。ホントに」
周囲の魚座も、その輪を狭めて愛をぐるりと囲んだ。
認めたくない。
だが、現実が目の前にあった。
この新参者が魚座の大魔闘士に一番近いことを、全員が肌でひしひしと感じていた。
「あんた、魚座の大魔闘士に名乗りを上げるつもりかい」
紗英の問いに、愛は改めて自分の運命を振り返った。
誕生日も、守護星座も、すべて星見の賢者から賜ったものである。
もしかしたら本当は、自分は魚座でも何でもないかもしれない。
でも、と首を振った。
明がそうだと言っている。お前は魚座の大魔闘士になるんだ、と。
明と肩を並べることができれば、どんなにいいだろう。
何かあれば、二人して戦うのだ。そのために命を落としてしまう事になっても後悔はしない。
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