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第一章・49

 これまで生きてきた、霞のかかったような灰色の道。  それが今では、明の放つ光で鮮やかな色彩を帯び始めている。  これからも、ずっとそのまま歩いていきたい。  愛は唇をひとつ噛むと、はっきりと答えた。 「それが私の運命なら、従います」  紗英は一瞬ひるんだ様子を見せたが、すぐに横柄な微笑をうかべた。 「辞退しな。あんたみたいなやつが大魔闘士なんて、アタシは認めないよ」  大体、と、紗英は愛の周りをゆっくり歩きながら、ずけずけと言葉の暴力を浴びせ始めた。 「あんた、神官候補生になるって話なんじゃないか? まぁ、闘技会で散々な成績だから仕方がないけど」  愛は、後ろから紗英に髪を引っ張られひどくのけぞった。 「根回しに、夜な夜な高等神官様に夜伽をしてるってこともアタシは知ってるんだよ? かわいい顔してやるじゃないか」  魚座の少女が、けがらわしい、とささやいた声が愛の耳に痛かった。 「そのうえ蟹までたらしこんで、首尾は上々ってところかい。そうは問屋が卸さないよ」  一周して愛の目の前に戻った紗英は、力任せにその胸ぐらを掴みあげた。 「いいね。魚座の大魔闘士は辞退するんだ。解かったかい!?」 「いやです!」

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