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第一章・57
医療所の一室に入った柊一は、うなだれて腰掛けている明の姿を見た。
何度来ても、同じ様子で座っている。
不遜でいつも自信にあふれていたこの男が、こんな姿を見せるのは初めてだ。
「その様子だと、岬はまだ起きないようだな」
「ああ」
わずかに顔を上げ、ため息混じりに返事を返す明。
愛の覚醒を誰よりも望み、誰よりも喜んだはずだったが、こうなるともう手放しでは祝うこともできない。
魔導薔薇をおさめた後、愛は入江の腕の中で昏睡状態に陥った。
もう丸一日、目覚めないのだ。
大魔闘士として目覚めたは良いが、そのまま廃人や死人になってしまった候補生の話がある。
精神や肉体に準備ができないままオーラが極大まで高まると、受け止めそこねた器は壊れてしまうのだ。
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