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第一章・60
足を止めようとしたその時、大声が響いた。
「バカやろう。諦めんじゃねえ!」
「明!?」
颯爽とあらわれた金色の光は、またたくまに四方八方から伸びてきていた腕を粉砕した。
「すごいすごい! 明はやっぱり強いね!」
明の首にかじりつきながら、愛は別の意識を感じていた。
(あぁ。明、なんて呼び捨てにして。それに、ちょっと慣れなれしすぎないかな。どうしたんだろう。私)
まあな、と得意な顔の明は大きな平たい箱を持っていた。
美しい金色に輝く、四角い箱。
何だろう。この箱は。中に一体何が。
「でも、オレもいつも来られるとは限らねえからな。これからは、自分の身は自分で守るんだ。こいつを使ってな」
箱を愛に手渡し、ぽんと叩く明。
「中に何が入ってるの?」
「それは、お前にしか解からねえことなんだよ。開けてみな」
「開ける、って、どうやって?」
「それもお前にしか解からねえことなんだよ。いいから開けろ」
「無理だよ。できないよ」
「開けろって。いいから開けるんだよ」
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