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第一章・66

 魔闘士として生きていくということは、常に人を殺めることと隣り合わせである。  それが愛に耐えられるのか。  明の危惧はそこにあった。  無理をすることはない、と明は思った。  これからずっと、こいつの分までこのオレが殺す。  明の顔は真剣そのものだったが、入江と柊一は困惑した表情でこちらを見ている。  真実はどこにあるのか、愛にはすぐに解かった。  私は人殺しになった、と心の中で静かにそれを受け止めた。  明が自分をかばってくれる気持ちは嬉しかったが、それに甘えるわけにはいかない。    運命の扉をたたいたのは明かもしれないが、それを開いたのはまぎれもなく自分の意志なのだ。  そして、愛は自分の行く末を覚悟した。

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