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第一章・70

 校長室を出た時は、まだ日が高かったのに、花迷宮につくころにはすでに傾きかけていた。  魔導学校の敷地は広い。人の滅多に立ち入らない施設も多い。  花迷宮もまた、その一つだった。 「疲れてないか?」 「うん。だいじょうぶ」  明は、愛の返事に気をよくした。  校長室ではまだ他人行儀な敬語だった愛が、ここまで歩いてくるにつれてようやくくだけた話し方をするようになったのだ。  それだけ、二人の間の距離も縮まったような感じを受けた。 「そろそろ暗くなるな。灯を用意するか」 「うん」  返事をしてカンテラを取り出した愛だったが、手が止まった。 「どうした?」 「夕日とお月様がすごくきれい」  振り仰ぐと西の空には輝く夕日が、東の空には大きな丸い月が昇っていた。  夕日に照らされ、木々や草花の姿が輝いて見える。  それはやがて、静かな月の光の下で眠るのだろう。  花迷宮の敷地は緑にあふれていた。

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