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第二章・3
木陰で横になり、胸を大きく上下させてぐったりしている愛の頬に、突然冷たいものが当てられた。
「ひゃっ!」
「よぉ、お疲れさん。どうだ? 調子は」
手にした氷を愛の口に咥えさせながら、明はにやりと笑った。
「もうダメ。死にそう」
口の中の氷は、あっという間に溶けてゆく。体中が熱を持っているのだ。
溶けた氷の冷たい水は、愛の喉を優しく潤した。
「あぁ、生き返るぅ~」
なんとか起き上がった愛に、明は小さな包みを手渡した。
「ほれ、食え。朝飯ほとんど食ってねえから、力が出ねえんだよ」
包みを開けると、そこにはまぁるいシュークリームが!
「ありがとう、明~ッ! 好き好き、大好き!」
思わず叫んだ愛だったが、『大好き』の『き』の字が瞬間的に凍りついた。
「ふッ、冬月様ッ!」
何ィ、と振り返った明の眼に、水筒を手にした柊一が映った。
相変わらず愛想のない顔で、こっちに向かってくる。
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