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第二章・8

「お前、自分を低く見過ぎてんだよ。もっと自信持てよ」 「でも……だって、私は汚れた人間だから」  薄暗い室内が世界のすべてだった頃は何とも思っていなかったが、外の世界に出てみれば多くの人が自分のやっていたことを蔑んで見るのだ、と愛は痛いほど思い知らされていた。 「鬼畜みてえな処女もいれば、聖母みてえな娼婦もいるんだ。あんまり気にして思いつめんなよ」  さ、寝るぞ、と明はそこまででさらりと切り上げた。  あまりに重い愛の過去を、二人してうんうん唸る必要は無い。  むしろ軽く受け止めてやる方が、今の愛には必要かと明には思われた。  汚れた人間は、周囲の心無い大人たちだったのだ。  愛に罪はない。いつ、それに納得してくれるのだろう。 (明日の差し入れは、マカロンにしようかな)  色とりどりのかわいらしいマカロンに、愛の心が少しでも潤えばいいのだが、と考えながら明は眠りについた。

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