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第二章・9
23時。
明は、愛としばしの別れを惜しんだ。
しばしの、というのは本当に短いわずか24時間なのだが。
午前0時から、翌日の午前0時まで、明は大魔闘士の務めの一つとして、魔導殿に丸1日籠らねばならない。
ちゃんと眠れよ、ちゃんと食えよ、と、おそらくは叶わないであろう言葉を口にして、明は魔導殿の方角へ消えた。
心配しないで、と愛は笑顔で明を見送ったが、彼がいない隙を狙って招かれざる何者かが深夜に忍んでくることは解かっていた。
だが、絶対に明には内緒である。知ったが最後、その者の命はあるまい。
ちょっと自分が我慢すれば済むことである。
お客様を迎えるようなものだ、と愛は割り切っていた。
かたくなに拒めば、いずれその反動はさらに大きくなる。
先々の事を考えれば、小出しにしておいた方が無難なのだ。
ベッドに入ってまもなく、ドアが開く音がカチリと響いた。
(これも、冬月様には知られたくないな)
愛はため息をついて、心の扉を閉ざし頭の中を白く塗りつぶしにかかった。
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