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第二章・19
すでに休憩時間に入っているらしく、愛は木陰に腰かけていた。
だが、その隣に誰かいる。
知った顔だ。
あれは確か、魔導教官の稗田(ひえだ)だ。
おそらく、愛の今日の稽古相手に違いない。
(大人だ)
柊一は心の中でつぶやいた。
稗田は、もう中年に差し掛かろうとしている熟練の魔導教官だ。
大人の稗田が、愛にぴったりと寄り添い、なにやら楽しそうに話している。
ここは愛の様子が気にかかる。
やはり、稗田と眼を合わせないのだろうか。
柊一はしばらく様子を見ることにした。
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