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第二章・22
「ヤだなぁ、冬月。大人の話に子どもが入ってくるものじゃあないよ?」
「愛はまだ子どもです。何が大人の話なんですか」
「スキンシップというやつだよ。大人同士には必要なものなんだよ」
「だから、あなたは大人だが岬は子どもだと言ってるでしょう」
「大人だよ、岬は。少なくともお前さんよりはずっとね。なにせ、ここに来る前は……」
「やめて! 言わないで!」
愛は声を限りに叫んで、顔を手で覆った。
「ここに来る前は、花屋だったんです。それが何か?」
柊一の見当違いの言葉に、稗田はげらげらと高笑いした。
「そうか! 確かに花屋だな。この世のものとも思えないほどきれいな花を、散々売ってたわけだ」
「どういう意味です」
「岬は、ここに来る前は風俗にいたんだよ。知らなかった?」
とんだ邪魔が入ったおかげで、お楽しみをフイにされた稗田は、捨て台詞を残して立ち去って行った。
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