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第二章・28
「愛」
「え?」
「店といえば、アレだが」
は、と愛の表情がこわばった。
「あの、何だ、その、つまり、俺は何とも思ってないから」
「何だそりゃ」
もっと解かるように話せ、と明の眼が訴えている。
「つまり、たとえお前が、その、いかがわしい店にいたとしても、俺はお前の事を」
げッ! と明は息を飲み、愛の方を見た。
「う……」
みるみるうちに、その瞳はうるんでいく。
「……うぅッ!」
泣きながら食堂を飛び出していった愛を追う事も出来ず、柊一は明に頭を思いっきり殴られた。
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