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第二章・31 ~融和~

「知ったのか」 「知った」 「本人が話したのか」 「いや」  泣きながら去った愛をなんとかなだめた明が探し出した柊一は、石切り場にいた。  愛が以前風俗にその身を置いていたことは、人づてに聞いた、とだけ柊一は話した。  実名を挙げれば稗田は即、地獄送りだろう。  あんな下衆な大人は消えても構わないとは思ったが、それでは愛がまた心を痛めるだろうと思い黙っていた。 「で、どう思うよ」 「どうも思わない。愛は大切な仲間だ。その気持ちは、変わらない」 だったら、と明は大きく両腕を広げた。 「どうしてそのまんま、あいつに言わねえんだよ! お前、ホント喋るのがヘタクソだな!」 「確かに俺は、話すのが苦手だ」  柊一は、心から反省していた。  だからこそ、この石切り場へやってきたのだ。 「話すのは苦手だから、行動で示すことにする」 「行動?」

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