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第二章・32
柊一は呪文を詠唱し、魔力の乗った右腕を一閃させた。
瞬く間に、ブロック状の四角い石が岩山から切り出され転げ落ちてきた。
それを拾い上げた柊一は、今度はその面に軽く手をのせた。
「何だよ、行動で示すって」
「まぁ、見てくれ」
とん、と手刀でブロックを叩く。
石は音もなく真二つに割れた。
「何やってンだよ」
「あっ、あれ!?」
思うようにいかなかったのか、柊一は足元にたくさん落ちている切り出したブロックを手当たり次第に手刀で叩き始めた。
だが、それらはどれも次々に真二つに割れるばかりだ。
「くッ!」
「だから、何をやりたいんだよ、お前は! いいから口で言ってみろ!」
「いや、俺の考えでは、こういうものを作るつもりでだな。中央に穴を……」
柊一が指し示した岩の上に、四角い洒落た形の植木鉢がひとつ置かれていた。
なるほど、切り出した石をうがち、小さな水きり穴を開ければ植木鉢になる。
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