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第二章・38

 柊一に花屋なんて大丈夫なのかよ、と明はぼやいていたが、結局は3人で花屋を出すこととなった。  まずは植木鉢の準備だ。  ぶつぶつ言っていたわりには乗り気の明は、わざわざ海岸まで行って角の取れた丸い石を何個も抱えてきた。 「四角いだけじゃ、つまんねえだろ」  明の丸い石を見て、柊一はいぶかしげな顔を作った。 「なぜだ。統率のとれた四角の方が、並べやすいだろう」 「バッカ。最近はよ、ナチュラル志向でこういう自然っぽいのがウケるんだよ」 「くだらん。四角でいい!」 「丸い方が売れるって!」  ぎゃあぎゃあと言い合いになって、仕事は全く進まない。 「二人とも、いい加減にして! ケンカしないで!」  愛の一声で、論争は一瞬にしてやんだ。 (愛が、俺に対しても怒った)  これまで、柊一の前では借りてきた猫のようにおとなしかった愛が、感情をあらわにしている。  柊一はその事が無性にうれしく、顔をほころばせた。 「何だ、ニヤニヤしやがって。気味の悪いヤツだな」  明はそう言いながらも柊一の気持ちが解かっているらしく、肩をぽんと叩いてきた。  柊一もそれに応えて、にっこりと笑った。

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