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第二章・41
一口に魔導学校といっても、それは校舎や高台にある魔導殿、祭場、闘技場だけではない。
その周囲には林もあり川もあり、農場があり牧場がある。
そして集落もある。
神職についている者や魔闘士たちの家族も、その町に住んでいる。
そんな雑多な集合体のほぼ中央に、ちょっとした催しも行えるくらいの広場が設けてあり、蚤の市はそこで開かれることとなっていた。
この日は日曜日という事も手伝って開放的な空気に満ちており、学校近隣の町からも、掘り出し物を物色しに来た人間や、魔導学校とやらを見学しに来た人間であふれかえっていた。
明は鉢植えを並べ終えた後、首をぐるりと回してから両隣の出店をちらりちらりと確かめた。
熊のような男の金物屋と、トカゲのような女の古着屋だった。
(おい、柊一)
できるだけ小さな声で、だが耳はあらん限りの力で引っ張り上げて、明は柊一に耳打ちした。
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