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第二章・42

(どうしてオレたちの店がここなんだよ。子ども広場は空いてなかったのかよ!?)  子どもの出店だけを集めて展開している、通称『子ども広場』に店を出せば、当然周囲を取り巻く人間は圧倒的に子どもが多くなる。  ということは、返せば大人が少なくなるということを指していた。   俺に考えがあるんだ、と柊一は明に答えると、愛の方を見た。  たくさんの鉢植えの中にちょこんと腰かけた愛は、ずっと下を向いている。  時折、意を決したように顔を上げるが、その視線の先に大人の姿が現れるとまた下を向く。  その繰り返しである。  愛が大人に対して拒否反応を起こすことは、明もとうの昔に気付いていた。  そんな愛を、何も選んで大人のるつぼに叩きこむことはないではないか。  明のいう事も一理ある。  だが柊一は、だからこそ子ども広場ではなく大人の敷地内にスペースを取ったのだった。

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