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第二章・45

「そうですねぇ。お姉さんなら、どの花でも似合いそうですが……」    おどけた声を含ませて、代わりに明が会話を続けた。  愛を見る眼は、心配そうな色ではあったが、いざというときはオレが何とかするから、と語っていた。 「あ、あの。こちらの花の色は、お客様の瞳の色と同じです」  愛が差し出した鉢植えの花はブルーで、確かに女性のカラーコンタクトと同じ色を持っていた。 「いいわね。つぼみもたくさん付いてるし。じゃあ、それをいただくわ」 「ありがとうございます!」  代金だけでなく小さな袋に入ったお菓子まで愛に与えて、女性は雑踏の中に消えて行った。 「瞳の色と同じ、って」  柊一は、愛を見つめた。 「眼を、大人の眼を見たのか? 見られたのか!?」  愛は、小さくうなずいた。  やったぜ、と明が派手に指を鳴らした。  大人を拒絶し、その眼をまともにみることができなかった愛が! 「おう、幸先いいなぁ。これは先を越されたな」    熊のような金物屋が、親しげに話しかけてきた。 「私もひとつもらおうかしら」  トカゲのような古着屋が、楽しげに言ってきた。  どちらの大人も、溶けるように優しい眼をしている。  愛は、柊一と明を交互に見て、にっこりと笑った。

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