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第二章・47

「この金で」  柊一はそう言うと、愛の方を見た。  その顔は自然な笑顔で満たされており、『冬月様』の前でいい子にしている姿は、もうどこにも見当たらなかった。 「愛、この金でな。その、何だ、アレだ」 「?」  柊一の顔は、なぜか真っ赤になっている。 「ふッ、ふふふふ」 「何、笑ってンだよ。お前」  明も、異様な柊一の様子に気づいた。  どうやら言いにくい事を、無理に言おうとしているようだ。 「笑っているんじゃない!」  柊一は明の方を向いて鋭く言うと、再び愛に向き直って大きく息を吸った。 「愛、この金でフルーツパフェを食べに行こう!」 「何ィ!?」  フルーツパフェ。  柊一が、フルーツパフェ!?

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